2004 年 1 月付けの最新の ASHRAE 資料、『Thermal Guidelines for Data Processing Environments』を 参照してください。この資料は、オンラインで ashrae.org から購入できます。 専用のセクションに、データ・センターの全体的な冷却状態の評価と最大の冷却を得るための最適化を行う詳細な手順が示されています。
サーバーおよびストレージに関する考慮事項
ほとんどの IBM® サーバー製品とストレージ製品は、サーバーの前面から冷却された空気を引き込み、熱気を背面から排出するように設計されています。 最も重要な要件は、機器前面の吸気温度が IBM ® 環境仕様を超えないようにすることです。 サーバー仕様またはハードウェア仕様書で環境要件を参照してください。 吸気域と排気域が、紙、ケーブル、またはその他の障害物によってふさがれないようにしてください。 サーバーのアップグレードまたは修復を行うときは、稼働中の装置からカバーを取り外しておく最大許容時間が指定されていれば、それを超えないようにします。 作業が完了したら、すべてのファン、ヒートシンク、エア・バッフル、およびその他のデバイスをIBM ®の説明書に従って元どおりに取り付けてください。
IBM も含め、各製造元では、2004 年 1 月付けの ASHRAE 資料、『Thermal Guidelines for Data Processing Environments』で提案されている形式で熱負荷を報告しています。このデータは、熱負荷のバランスを取るために使用されることを意図したものですが、このデータを使用して冷却の供給と需要のバランスを取るときは注意が必要です。その理由は、多くのアプリケーションが一時的なものであり、一定の割合で熱を分散するわけではないからです。 熱負荷に関して機器とアプリケーションがどのように動作するかを、将来の増大についての考慮も含め、十分に理解しておくことが必要です。
ラックまたはキャビネットに関する考慮事項
注: ここでいう「ラック」は、キャビネットとフレーム、および一般的にラック・マウント型機器の格納装置を示すために使用されるその他の用語も意味しています。
IBM Enterprise の 483 mm (19 インチ) ラックは、ラック内に取り付けられた機器内に最大の空気の循環ができるように設計されています。 冷却された空気は前面から取りこまれ、ラック・マウント型機器内のファンによって背面から排出されます。 ほとんどの IBM ラックには穴の開いた背面ドアと、穴の開いたオプションの前面ドアが付いています。 一部のラックには、ラックからの放出ノイズを低減するため、オプションの防音機構が付いています。 IBM 以外のラックを使用する場合、空気穴のないドアや、大量の装飾ガラスを使用したドアは、ラックへの空気の流通が十分でないので、お勧めできません。
ラックの背面から排出される熱気がラック前面へ再循環されないようにする必要があります。 空気の再循環を回避するためには、2 つの方法があります。 第 1 に、ラックに収めて出荷された機器によって占有されていないすべての空きラック・スペースを、フィラーまたはブランキング・パネルでふさぐ必要があります。 ラック内の空気の再循環を防ぐには、1U および 3U のフィラー・パネルが使用されます。 ラックにフィラー・パネルが取り付けられていない場合は、IBMからフィラー・パネルを入手できます。
| インデックス番号 | FRU 部品番号 | アセンブリー当たりのユニット数 | 説明 |
| 1 | 97H9754 | 適宜 | 1U フィラー・スナップ (黒) |
| 62X3443 | 適宜 | 1U フィラー・スナップ (白) | |
| 2 | 97H9755 | 適宜 | 3U フィラー・スナップ (黒) |
| 62X3444 | 適宜 | 3U フィラー・スナップ (白) | |
| 3 | 12J4072 | 適宜 | 1U フィラー・スナップ (黒) |
| 4 | 12J4073 | 適宜 | 3U フィラー・スナップ (黒) |
| 5 | 74F1823 | アイテム 3 当たり 2 | M5 クリップ・ナット |
| 74F1823 | アイテム 4 当たり 4 | M5 クリップ・ナット | |
| 6 | 1624779 | アイテム 3 当たり 2 | M5 X 14 ヘックス・フランジ |
| 1624779 | アイテム 4 当たり 4 | M5 X 14 ヘックス・フランジ |
第 2 は、すべてのラックの周囲に適正な操作用のスペースを設けることです。 サーバー仕様またはハードウェア仕様書でスペースの要件を参照してください。 フロア・レイアウトは、1 つのラックの背面から排出される熱気が、別のラックの前面にある吸気口から入らないようにする必要があります。
最後に、適正なケーブル管理もラック内の空気の流通を最大化するためのもう 1 つの重要な要素です。 ケーブルは、ラックに出入りする空気の動きを妨げないように引き回し、固定しておく必要があります。 空気の流通が妨げられると、機器内への空気の流量が少なくなります。
ファン補助装置付きのラックまたはキャビネットの使用には注意が必要です。キャビネット内に取り付けた機器の多さに応じて、キャビネット内の送風機が流量を制限し、機器に必要な流量を下回る場合があります。
部屋に関する考慮事項
過去 10 年間に設計され建設されたデータ・センターは、一般に、キャビネット当たり最大 3KW の熱負荷を冷却する能力があります。 これらの設計には、多くの場合、高さ 457 mm (18 インチ) から 610 mm (24 インチ) の上げ床空気分散プレナム、高さ 2.4 m (8 フィート) から 2.7 m (9 フィート) の部屋の天井、および部屋の周囲に設けたコンピューター室空調 (CRAC) 装置が含まれます。 IT 機器が占有するスペースは、データ・センター全体の面積の約 30 から 35% です。 残りのスペースは、ホワイト・スペース (つまり通路、保守スペースなど)、電力配分装置 (PDU)、および CRAC 装置です。 最近まで、熱負荷影響評価、機器のレイアウトと空気供給パス、熱負荷の分散、およびフロア・タイルの配置と開口部については、ほとんど注意が払われていませんでした。
設置の総熱負荷の影響評価
全体的な環境バランス・ポイントを判別するには、総熱負荷の影響評価を行う必要があります。 この影響評価の目的は、設置を計画しているか、既に設置した熱負荷を処理するために、十分に適切な冷却が行われているかどうかを、冗長度も含めて調べるものです。 この影響評価の方法は複数ありますが、最も一般的な方法は、I 形梁、気流を妨げるもの、または CRAC 装置の位置によって定義した各論理セクション内の熱負荷と冷却を検討する方法です。
機器レイアウトと空気供給パス
IBM では、2004 年 1 月付けの ASHRAE 資料、『Thermal Guidelines for Data Processing Environments』で説明されている熱通路、冷気通路の配置を推奨しています。次の図では、データ・センター内のラックが冷気通路と熱通路を設ける形で配置されています。 冷気通路は、2 列のラックを分離している有孔フロア・タイルからなっています。 有孔フロア・タイルからの冷却された空気は、タイルから排出され、ラックの前面に取り込まれます。 各ラックの吸気口 (各ラックの前面) は、冷気通路に面しています。 この配置により、ラックの背面から排出される熱気を CRAC 装置に戻すことができ、それによって、ラックからの熱い排気が循環してラックの吸気口に戻る量を最小にできます。 CRAC 装置は熱通路の端に配置され、熱気が CRAC 装置に戻るのを助長し、冷気通路への静的圧力を最大にします。
データ・センターの熱負荷管理で重要なことは、ラックへの吸気温度が製造元の仕様を満たすようにすることです。 有孔タイルから冷気通路へ排出される冷却された空気は、ラックに必要な冷気の合計流量を満たさない場合もあるので、冷却されていない追加の流れが上げ床の別の領域から引き込まれる可能性があります。 次の図を参照してください。多くの場合、ラックの上部へ取り込まれる気流は、かつてラックの下部を満足させていたもので、システムの背面からの熱気と他の領域からの空気が混ざったものになります。 列の端に置かれたラックの場合、ラックの背面から排出される熱気の流れは、ラックの側面を回り込んで前面へ移動します。 こうした気流パターンは、実際のデータ・センターと気流モデルで観測されたものです。
冷気の気流分布が最良でない可能性があるデータ・センターで、特定の熱負荷があるときに十分な冷気の流れを提供するには、次の表が参考になります。 この図表は、データ・センター内の最悪の位置を考慮に入れたもので、IBM の® ほとんどのハイエンド機器に必要となる最高温度仕様を満たすための要件を示しています。 高度に応じた補正については、この図表の下部に注があります。
ラックに供給空気を送る最も一般的な方法については、システムの空気分散に説明があります。
熱負荷の分散
オプション 1 は非常に費用がかかり、場合によっては新しい建物が必要になります。 オプション 2 の場合は、既存のデータ・センター内の冷却を最適化し、限られたセクションでの冷却能力を高めるためにできることが多数あります。
推奨事項の 1 つは、ハイエンドのラックの前に開放率と流量率の高いフロア・タイルを配置することです。 もう 1 つの推奨事項は、特殊な手段を講じて、ハイエンド・ラックの背面から出る熱い排気を、それが部屋の別の部分にあるラックの吸気口へ戻る前に、直ちに除去することです。 これを実現するには、特殊な遮蔽板を取り付けるか直接にダクトを設けて、熱気を CRAC 装置へ戻します。 いずれの推奨事項でも、床下の静的圧力と気流分布のダイナミックスに悪影響が出ないよう、入念な設計が必要です。
フロア・スペースが問題にならないセンターで最も実際的な方法は、全体を上げ床に設計して一定の冷却レベルになるようにし、ラックの数を減らすか、ラック同士の間隔を広げてキャビネット当たりのフロアの能力に合わせることです。
フロア・タイルの配置と開口部
有孔タイルは、位置を機器の吸気口にそろえて、冷気通路内にのみ配置してください。 熱通路には、どれほど不快な暑さになっても、有孔タイルを配置しないでください。 熱通路は、暑くなるように意図されたものです。 熱通路に人為的に開口タイルを配置すると、CRAC 装置へ戻る空気の温度が下がり、したがって CRAC 装置の効率と有効容量が低下します。 この現象は、データ・センター内のホット・スポットの問題を助長します。 有孔タイルの位置は、CRAC 装置に近すぎないようにしてください。 上げ床の下にある領域では、通常、CRAC 装置の排気口から約 6 タイル以内の気流速度が毎秒約 530 フィートを超えているため、室内の空気が下方の上げ床内に吸い込まれるベンチュリー効果が発生する可能性があり、上方への冷気の供給という求める結果と逆の結果になります。
さまざまなパーセントの開口率でのフロア・タイルの体積流量は、図 5 に示すとおりです。
標準的なデータ・センターのフロア・タイルでは、100 から 300 cfm (立方フィート/分) です。 この資料で説明した、いくつかのガイドラインを利用して気流を最適化することにより、最高 500 cfm の流量を実現できる場合があります。 開口率のパーセンテージが最高のタイルでは、タイルあたり最高 700 から 800 cfm の流率も可能です。 フロア・タイルは、冷気通路内で機器の吸気口の位置にそろえる必要があります。
データ・センター・スペース内の機器に直接冷気を送る目的以外で存在する上げ床の開口部は、ブラシ・アセンブリーやその他のケーブル開口部素材 (フォーム・シート、ファイヤー・ピローなど) で完全にふさいでください。 そのほかにふさぐ必要がある開口部は、データ・センターの外壁、床下、および天井の穴です。 すべての開口部をふさぐことは、床下の静的圧力を最大にするのに役立ち、必要な冷気通路への気流を最良の状態にします。また、未使用の空気が CRAC 装置へ短絡されて戻ることをなくします。