平衡型ストレージ・システムの構成

ストレージ・システムSAN ボリューム・コントローラーに接続するには、 装置に対して特定の設定が適用されていることが必要です。

このタスクについて

ストレージ・システムSAN ボリューム・コントローラーに接続するには、2 つの主要なステップがあります。
  1. ストレージの接続に関する SAN ボリューム・コントローラーの特性を設定する。
  2. 論理装置のこれらのストレージ接続へのマッピング (SAN ボリューム・コントローラーが論理装置にアクセスできるようにする)

SAN ボリューム・コントローラーの仮想化機能を使用して、ストレージを分割してホストに提示する方法を選べるようになります。 仮想化により、柔軟性が著しく向上する一方で、 過負荷のストレージ・システムをセットアップする可能性も生じます。ホスト・システムによって発行される入出力トランザクションの数量がそれらのトランザクションを処理するストレージの能力を超える場合、ストレージ・システムは過負荷になります。ストレージ・システムが過負荷になると、ホスト・システムでの遅延の原因となり、入出力トランザクションがホストでタイムアウトになります。入出力トランザクションがタイムアウトになると、ホストはエラーを記録し、アプリケーションに入出力の失敗が報告されます。

シナリオ: ストレージ・システムが過負荷になっています

1 つのシナリオで、SAN ボリューム・コントローラーを使用して単一の RAID アレイを仮想化し、 ストレージを 64 のホスト・システム全体で分割します。 すべてのホスト・システムがこのストレージに同時にアクセスを試みると、 単一 RAID アレイは過負荷になります。

以下のステップを実行して、 バランスの取れたストレージ・システムを構成します。

手順

  1. 表 1を使用して、 ストレージ・システム内の RAID アレイごとに入出力速度を計算します。
    注: 処理可能な 1 秒当たりの実際の入出力操作の回数は、 各入出力の位置と長さ、入出力が読み取り操作であるか書き込み操作であるか、 および RAID アレイのコンポーネント・ディスクの仕様によって異なります。 例えば、8 つのコンポーネント・ディスクを持つ RAID-5 アレイは、約 150×7=1050 の入出力速度を持ちます。
    表 1. 入出力速度の計算
    RAID アレイのタイプ RAID アレイ内のコンポーネント・ディスクの数 概算の入出力速度 (毎秒)
    RAID-1 (ミラー化) アレイ 2 300
    RAID-3、RAID-4、RAID-5 (ストライプ + パリティー) アレイ N+1 パリティー 150×N
    RAID-10、RAID 0+1、RAID 1+0 (ストライプ + ミラー化) アレイ N 150×N
  2. 管理対象ディスク (MDisk) の入出力速度を計算する。
    • バックエンド・アレイと MDisk との間に 1 対 1 の 関係がある場合、MDisk の入出力速度は、対応するアレイの入出力速度と同じです。
    • アレイが複数の MDisk に分割される場合、MDisk 当たりの入出力速度は、アレイの入出力速度を、そのアレイを使用する MDisk の数で割った値です。
  3. MDisk グループの入出力速度を計算する。 MDisk グループ の入出力速度は、MDisk グループ内の MDisk の入出力速度の合計です。 例えば、MDisk グループに 8 つの MDisk が含まれ、 各 MDisk は RAID-1 アレイに対応しています。 表 1を使用して、MDisk ごとの入出力速度は 300 と 計算されます。 MDisk グループの入出力速度は 300×8 = 2400 です。
  4. 表 2 を使用して、 FlashCopy® マッピングの影響を計算する。SAN ボリューム・コントローラーが 備えている FlashCopy 機能を使用する場合は、FlashCopy 操作で生成される 追加の入出力の量により、ホスト・システムからの入出力を処理できる速度が低下するため、その追加の入出力の量を考慮する必要があります。FlashCopy マッピングにより、まだコピーされていないソースまたはターゲットの仮想ディスク (VDisk) の領域に、ホスト・システムからの書き込み入出力がコピーされる際、SAN ボリューム・コントローラーは、書き込み入出力が実行される前に、追加の入出力を生成してデータをコピーします。 FlashCopy 機能を使用した場合の影響は、アプリケーションによって生成される入出力ワークロードのタイプによって異なります。
    表 2. FlashCopy マッピングの影響の計算
    アプリケーションのタイプ 入出力速度への影響 FlashCopy の追加加重
    アプリケーションは入出力を実行しない ほとんど影響なし 0
    アプリケーションはデータを読み取るのみ ほとんど影響なし 0
    アプリケーションはランダム書き込みのみを発行する 入出力の最大 50 倍 49
    アプリケーションはランダム読み取りと書き込みを発行する 入出力の最大 15 倍 14
    アプリケーションは順次読み取りまたは書き込みを発行する 入出力の最大 2 倍 1

    アクティブな FlashCopy マッピングのソースまたはターゲットである VDisk ごとに、VDisk を使用するアプリケーションのタイプを考慮して、VDisk の追加加重を記録します。

    例えば、FlashCopy マッピングは、時刻指定バックアップを提供するために使用されます。 FlashCopy プロセス中、ホスト・アプリケーションにより、 ソース VDisk に対するランダム読み取りおよび書き込み操作の入出力ワークロードが生成されます。2 番目のホスト・アプリケーションはターゲット VDisk を読み取り、データをテープに書き込んで、バックアップを作成します。ソース VDisk の追加加重は 14 です。 ターゲット VDisk の追加加重は 0 です。

  5. 以下のステップを実行して、MDisk グループ内の VDisk の入出力速度を 計算します。
    1. MDisk グループ内の VDisk 数を計算する。
    2. アクティブな FlashCopy マッピングのソースまたはターゲットである VDisk ごとに、追加加重を追加する。
    3. MDisk グループの入出力速度をこの数値で割って、VDisk 当たりの入出力速度を 計算する。

    例 1

    MDisk グループの入出力速度は 2400 で、20 個の VDisk が 含まれます。 FlashCopy マッピングはありません。VDisk 当たりの入出力速度は 2400 / 20 = 120 です。

    例 2

    MDisk グループの入出力速度は 5000 で、20 個の VDisk が 含まれます。 MDisk グループにソース VDisk を持つアクティブ FlashCopy マッピングが 2 つあります。ソース VDisk はともに、 ランダム読み取りおよび書き込み操作を実行するアプリケーションによってアクセスされます。 その結果、各 VDisk の追加の加重は 14 です。 VDisk 当たりの入出力速度は 5000 / (20 + 14 + 14) = 104 です。

  6. ストレージ・システムが過負荷になっているかどうかを判別する。ステップ 4 で判別された数値は、MDisk グループ内の各 VDisk によって処理できる秒当たりの入出力操作数を、ある程度示します。
    • ホスト・アプリケーションが生成する 1 秒当たりの入出力操作数が分かっていると、それらの数値を比較して、システムが過負荷であるかどうかを判別できます。
    • ホスト・アプリケーションが生成する秒当たりの入出力操作数が分からない場合は、SAN ボリューム・コントローラーが備える入出力統計機能を使用して 仮想ディスクの入出力速度を測定するか、 あるいは 表 3 をガイドラインとして使用することができます。
    表 3. ストレージ・システムが過負荷になっているかどうかの判別
    アプリケーションのタイプ VDisk 当たりの入出力速度
    高い入出力ワークロードを生成するアプリケーション 200
    中位の入出力ワークロードを生成するアプリケーション 80
    低い入出力ワークロードを生成するアプリケーション 10
  7. 結果を解釈する。アプリケーションによって生成された入出力速度が、 計算した VDisk 当たりの入出力速度を超過すると、 ストレージ・システムを過負荷にすることがあります。ストレージ・システムを注意深くモニターして、 バックエンド・ストレージがストレージ・システムの全体のパフォーマンスを 制限していないか判別する必要があります。前の計算が単純過ぎて、その後のストレージの使用をモデル化できないこともあります。 例えば、計算では、アプリケーションがすべての VDisk に対して 同じ入出力ワークロードを生成することを想定していますが、 これは必ずそうなるとは限りません。

    MDisk の入出力速度を測定する場合は、SAN ボリューム・コントローラーが備えている入出力統計機能を使用できます。 ストレージ・システムが備えている パフォーマンスおよび入出力統計機能を使用することもできます。

次のタスク

ストレージ・システムが過負荷になった場合は、 問題解決に採用できるいくつかのアクションがあります。
  • システムにバックエンド・ストレージを追加して、 ストレージ・システムが処理できる入出力数を増やします。SAN ボリューム・コントローラーには、仮想化およびデータ・マイグレーション機能があり、 ストレージをオフラインにする必要なしに、VDisk の入出力ワークロードを より多くの MDisk 間に再配布します。
  • 不必要な FlashCopy マッピングを停止して、バックエンド・ストレージにサブミットされる入出力操作の量を減らします。 FlashCopy 操作を並列に実行する場合は、並列に開始される FlashCopy マッピングの量を減らすことを考慮します。
  • ホストが生成する入出力ワークロードを制限するように、 キュー項目数を調整します。 ホストのタイプおよびホスト・バス・アダプター (HBA) のタイプによっては、VDisk 当たりのキュー項目数を制限したり、HBA 当たりのキュー項目数を制限したり、あるいはその両方を制限することも可能です。 SAN ボリューム・コントローラーには、 ホストが生成する入出力ワークロードを制限できる入出力管理機能もあります。
注: これらのアクションを使用して入出力のタイムアウトを回避できますが、ストレージ・システムのパフォーマンスは、依然として所有するストレージの量によって制限されます。
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