仮想化

仮想化 とは、 情報技術産業の多くの分野に適用される概念です。

データ・ストレージの場合、仮想化には、 いくつかのディスク・システムの入ったストレージ・プールの作成が含まれます。これらのシステムは、 各種ベンダーから出荷されています。このプールは複数の仮想ディスク (VDisk) に分割でき、VDisk は、それを使用するホスト・システムによって認識されます。 したがって、VDisk は混合バックエンド・ストレージを使用でき、ストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) を管理するための 1 つの共通の方法を提供することができます。

従来、仮想ストレージ という用語は、オペレーティング・システムで使用されてきた仮想メモリー技法を表してきました。 しかし、ストレージの仮想化 という用語は、データの物理ボリュームを管理する方式から、データの論理ボリュームを管理する方式に転換することを表しています。この転換は、ストレージ・ネットワークのいくつかのレベルのコンポーネントに対して行うことができます。仮想化により、オペレーティング・システムとそのユーザー間でのストレージの表現が、実際の物理ストレージ・コンポーネントからは分離されます。この技法は、システム管理ストレージなどの方法や、IBM® Data Facility Storage Management Subsystem (DFSMS) のような製品により、長年にわたり、メインフレーム・コンピューターで使用されています。仮想化は、次の 4 つのメイン・レベルで適用できます。
サーバー・レベル
オペレーティング・システム・サーバー上のボリュームを管理します。 物理ストレージに対して論理ストレージの量を増やすことは、ストレージ・ネットワークが備わっていない環境に適しています。
ストレージ・デバイス・レベル
ストライピング、ミラーリング、および RAID を使用してディスク・システムを作成します。 このタイプの仮想化は、単純な RAID コントローラーから、IBM TotalStorage® Enterprise Storage Server® (ESS) または Log Structured Arrays (LSA) によって提供されるような高機能ボリューム管理まで、多岐に渡っています。Virtual Tape Server (VTS) も、デバイス・レベルの仮想化の例です。
ファブリック・レベル
ストレージ・プールをサーバーから独立させたり、ストレージ・プールを構成する物理コンポーネントから独立させたりできます。1 つの管理インターフェースで、サーバーに影響せずに各種ストレージ・システムを管理できます。SAN ボリューム・コントローラーは、 ファブリック・レベルでの仮想化を実行します。
ファイル・システム・レベル
ボリューム・レベルではなく、データ・レベルでデータが共用され、割り振られ、保護されるので、最も優れた利点があります。

仮想化は、従来のストレージ管理とはかなり異なります。 従来のストレージ管理では、ストレージはホスト・システムに直接接続され、ホスト・システムがストレージ管理を制御します。 SAN はストレージのネットワークという原理を導入しましたが、 ストレージは依然として、主に RAID システム・レベルで作成され、保守されます。タイプの異なる多数の RAID コントローラーを管理するには、特定のハードウェアに関する知識と、ハードウェアに固有のソフトウェアが必要です。 仮想化は、ディスク作成と保守を行うための 中央制御ポイントの働きをします。

仮想化が扱う問題領域の 1 つは、未使用の容量についてです。仮想化が導入されるまでは、個々のホスト・システムはそれぞれ個別にストレージを持っていたため未使用のストレージ容量が無駄になっていました。仮想化を使用するとストレージがプールされるため、大量のストレージ容量を必要とする接続システムのジョブが、必要なだけのストレージを使用できます。 仮想化によって、ホスト・システムのリソースを使用したり、ストレージ・デバイスをオフおよびオンにして容量を追加または除去しなくても、使用可能ストレージ量を簡単に調整できます。仮想化は、ホスト・システムに対して透過的に、ストレージ・システム間でストレージの移動を行う機能も提供します。

仮想化のタイプ

仮想化は、非対称的にも対称的にも実行することができます。図 1 に、仮想化のレベルの図を示します。
非対称
Virtualization Engine はデータ・パスの外にあり、メタデータ・スタイルのサービスを 実行します。
対称
Virtualization Engine はデータ・パス内にあり、ホストにディスクを提示しますが、 物理ストレージはホストから隠します。 したがって、 キャッシュ・サービスやコピー・サービスなどの拡張機能は、 エンジン自体で実装されます。

どのレベルの仮想化にも利点があります。複数のレベルを組み合わせて、それらのレベルの利点を融合させることもできます。例えば、仮想ファイル・システムの仮想ボリュームを提供する Virtualization Engine に、RAID コントローラーを接続すると、利点を融合させることができます。

注: SAN ボリューム・コントローラーは、 ファブリック・レベルの仮想化 を実装します。 SAN ボリューム・コントローラーのコンテキスト および本書全体を通して、仮想化 とは、対称ファブリック・レベル仮想化を指します。
図 1. 仮想化のレベル
仮想化のレベル
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